美味しい牛乳。新鮮、やさしさ365日

牛乳と健康

牛乳は必要な栄養素を全て含んでいる

牛乳は「完全食品」とよく言われまます。完全食品とは何でしょうか。
それだけを食べれば生きていける食品、つまり人間に必要な栄養素が全部含まれている食品のことです。

すべての哺乳動物の幼動物は、生れてから離乳までの期間、母親の乳だけで育ちます。
乳は生命を維持するだけでなく、旺盛な発育を支えます。

このような素晴しい食品が乳のほかにこの世にあるでしょうか。
つまり、乳は単独であらゆる栄養素を含んでおり、まさに完全食品です。

多くの動物は、限られた範囲のものしか食べません。
それに比べて、われわれ人類の食べ物は驚くほど多種多様です。

しかし、多様な食物のなかで本来食べられるために作られたものは、乳と密と果物しかありません。

米は稲が子孫を残す種子として作ったもので、人間に食べてもらいたくて稲が作ったものではありません。卵も同じです。

肉や魚は、動物や魚類の体そのもので、もとより食べられるためにそれらが生れたものではありません。

そこへいくと、乳と密と果物は食べられるために作ったものです。
密は食物が昆虫などを呼び寄せて、花粉を媒介してもらうために作ったもので、果物は動物に食べてもらうことによって、種をばらまくために食物が作ったものです。

どちらも昆虫や動物を誘惑するようにおいしく作られていますが、栄養学的にみれば昆虫や動物を養うように作られてはいません。

乳はどうでしょうか。幼動物の唯一の食物として、幼動物を養い育てる目的で作られたものです。

密のように甘かったり、果物のように甘くてよい香りを出したりはしませんが、乳は動物が生きて行くために必要な栄養素を全部含んでいるのです。

乳が人類の食べ物のなかでただ一つの完全食品であるという考え方は、乳がこのような得意な存在であることを考えれば、当然のことのように思われます。

 

牛乳は『飽食の栄養失調』を防ぐ

しかし、牛乳は完全な食品ではありません。牛乳が完全食品というのは現代の神話であり迷信です。

牛乳は卵と並んで、各種栄養素がもっとも良いバランスで含まれている食品ですが、完全に全ての栄養素が備わっているかというと、決してそうではありません。

たとえば、牛乳には鉄分がわずかしかありません。ビタミンCもないに等しいのです。

牛乳貧血という言葉があり、牛乳を一日1リットルから2リットル近くも飲む子供に、強い貧血が見られたという臨床報告があります。

これは、牛乳に貧血を起こす作用があるということではなく、牛乳に鉄分が少ないので、牛乳ばかり大量に飲むと、他の鉄分を含む食品が食べられなくて、その結果鉄分欠乏性貧血になるということです。

この一例をみても、牛乳は完全食品ではないことがわかります。

それでは、牛乳の栄養学的価値はどこにあるのでしょうか。それは「飽食の栄養失調」を防ぐことです。

現在のわが国では、飽食といわれるほどに、どんな食品でも自由に選んで腹一杯食べることができます。

しかし、選抜の自由は偏食の自由につながっているといわれるように、嗜好のおもむくままに飽食すれば、新たな栄養失調の現われということもできます。

確かに牛乳は他の食品に比べて多くの栄養素をバランスよく含んでおり、現在の日本人の食生活からみて重要なのは、まず第一にカルシウムです。

次いで牛乳の重要な栄養素的役割は、良質な動物性タンパク質及びビタミンB2とビタミンAの供給です。

牛乳を完全食品としてではなく、現在の日本人の栄養改善の武器として、食生活全体のなかに位置付けることが、これからの牛乳の活用法といってよいでしょう。

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